みんなが選ぶ「独断と偏見の、これが和の本?」
一般ユーザーの方々からの「おすすめの和の本」を紹介。
| 「こんこんさまに さしあげそうろう」 森はな
作 梶山俊夫 絵 PHP研究所/発刊 一番さむい、
大寒のころの、ある山里でのお話。なんにちも、なんにちも、雪が降り続いて山も畑も真っ白です。 暗い穴の中で、おなかを空かせた子ギツネがないています。 母ギツネは食べ物をさがしに村へおりて行きました―――。 昔、但馬の山里で行われていた行事「野施行(のせぎょう)」を描いた作品。 この絵本には、日本人が大切にしてきた「自然の中で、人も動物も共に生かされているという感謝」「施しの心」「母と子の情愛」が描かれていると思います。 心が冷え冷えとする事の多い昨今、与えることで得られる豊かさで、心を暖めてください。 (「京の酒どころ 伏見 」 在住 女性) |
| 「ながい坂」(上・下) 山本周五郎 著(新潮文庫) 私は、この本を読むたびに勇気をもらいます。 この本の中には、今の日本人が失いかけている「大切な生き方」が 散りばめられている気がします。 江戸時代末期の士農工商、老若男女、さまざまな人々の生き方を描いた面白さと、主人公とそのライバルの対照的な生き方が心に残ります。 名家の御曹司として生まれ、並外れた才能と美貌を兼ね備えて育 ちながら、その重みに耐えかねて身を持ち崩すライバル滝沢兵部。 一方、貧しい下級武士の子として生まれ、人生の「ながい坂」を苦しみながらも登りつづけ、 遂には城代家老となる主人公の三浦主水正。 物語の中、薬店主から金儲けのため、薬草園をやるよう勧められた老人が「天然しぜんに育つからこそ、薬草にはそれぞれの精分や効力がつく。朝の露、夕べの霧、澄みきった山の気、そして朽ち葉や落ち葉の中で育つからこそ薬効が備わる。人間も同じだ」と言うくだりが胸を打ちます。 今の日本人が(私も含めて)僅かの物しか持たずとも、逞しく、 心豊かな生き方ができればと念じています。 (生徒会NO16 女性) |
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「會津八一と奈良」 ―歌と書の世界ー 西世古
柳平 著 入 江 泰 吉 写真 會津八一氏の自詠自書114首と入江泰吉氏 の写真で、奈良の四季をあらわした本。 (生徒会NO16 女性) |
| 「万葉集」 例えば) 信濃なる千曲の川のさざれ石も君し踏みてば玉とひろわむ こいまろび 戀は死ぬともいちしろく 色には出じ朝顔の花 など 31文字(みそひともじ)の中に、素直な心を 表現した1300年前の万葉びとは「凄い!」 と思います。 (現代人より一面すぐれているのかも。) 胸に響くうたが多く、「紐解く」まではいきま せんが、本を開くと時間を忘れてしまうこと もあります。 (生徒会NO16 女性) |
| 「恋するハガキ絵」淡交ムック 遊美シリーズ 清水佳代著 篠原宏明写真 ( 淡交社) 1300円(税込) 「絵手紙」という言葉が流行っていて、NHK教育とかでもちょっと前に番組があ
りました。 でもちょっと「絵手紙」って私達より年齢が上の人にブームって感じがしていま した。 この本はそれよりもっとカジュアルで、現代的な「日本のこころ」を感じさせて
くれます。 インターネットやメール、携帯電話…現代のコミュニケーションも、 それはそれで便利だし、それぞれの良さを持っています。 でも、一枚のハガキを書く(または描く)って今とっても新鮮で大切なことに思 えます。 一枚目だけがちょっとシンドイけど、 自分の机の上に色鉛筆や絵の具、筆やワリバシ (これがまた良い筆の替わりになるのです!これもこの本で教えてもらいました 。) がスタンバイされると、二枚目からは案外おっくうにならずに描けるものですよ 。 そうそう、たとえ描かなくてもこの本は眺めているだけでも癒されます。 一度手にとって見てください。だれかにハガキを描きたくなります。 (京都府宇治市 Rieko 39歳 会社員 ) |
| 「魔界都市・京都の謎」封印された闇の歴史を暴く 火坂雅志著 (PHP文庫 ) 552円(税別) 人間とはどうしようもないなぁ…というのがこの本を読んでの第一声であろうか
。 京都という都市は過去、人間の謀(はかりごと)や怨念、憎悪が渦巻き、 それを逃れるために、ありとあらゆる手段を使って「魔界封じ」を行っているの
である。 この本を読んでいるとそれらが具体的に説明されていて非常に興味深い。 美しい観光案内の本が多い中で、最近この手の本が出てきているが、 これはその中でもわかりやすいと思う。 本文の最後に索引もついていて便利でもある。 京都は本当にこわいとろこなんだ、 どこになにがドロドロ〜と出てきてもおかしくない…というのがよくわかった。 京都に行ってみたくなる一冊である。 (横浜市 高橋A夫 45歳 会社員) |
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「能百番を歩く」 京都新聞社編 定価2000円(税別) |
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「小倉百人一首」 大岡信著 (世界文化社) 定価1480円 |
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「千曲川のスケッチ」 島崎藤村著 (新学社文庫) |
東福門院和子の涙 宮尾登美子著 (講談社文庫 定価738円) 私は宮尾登美子の歴史ものが好きだ。歴史って教科書で習うとすごく難しくて、人間関係も全く分からない。教科書で習った時と違う視点で、その人にぐっと入り込める。また女性の行き方って、習わない。 和子は徳川家康の孫。家光と兄弟である。そして史上初めて、武家から朝廷に嫁いだ。 今でも京都には、和子が使用した物が残っている。それを拝見した時とても身近に感じ、また時代の重みに感動する。 いつの時代も一人の女性の思いは変わらないもの。 (滋賀県在住 20代女性) |
「日本文化私観」坂口安吾(坂口安吾全集14、ちくま文庫) ふだん、伝統文化についてあまり考えたことがない僕ですが、このエッセイによって、少し日本のことが気なりだしました。伝統文化なんかなくてもいい。日本精神なんか語らなくてもいい。日本をわざわざ発見する必要もない。なぜなら我々は日本人であるのだから、すでに日本文化を体現しているのだ。坂口安吾のそんな小気味いい文章は、伝統文化コンプレックスの僕をスッキリさせてくれました。だから最近逆に、日本のことが気になりだしたのです。頭の固い伝統文化ファンや食わず嫌いの伝統文化コンプレックスの方におすすめします。坂口安吾のエッセイは、おもしろいですよ。この文庫全集にいっぱい入っています。 (会社員35歳、外人に日本文化が説明できない商社マン) |
『日本の無思想』加藤典洋(平凡社新書)
欧米人と日本人の一番の違いは、日本人が「タテマエとホンネ」を使い分けることにある、とはよく言われるところ。特に日本の政治家は、「善処します」とか「前向きに考えます」のような発言が多い。公的な発言と私的な発言がまるでちがう。これは会社においても対人関係でも、言えることだ。 そんなことでは、日本人は今の国際社会では通用しない。仕事柄、外国の人と仕事することが多いので、はっきりと自分の意見を述べる英米の人間との違いを痛感している。 いつから日本人は、そんな気質を持つようになったのか。 かねてから不思議に思っていたが、そのことに真っ向から取り組んでいるのが、この本だ。政治家は、この本を読んで反省してもらいたい。 (会社役員、55歳、輸入業) |
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『風雅の虎の巻』橋本治 (作品社) |
『心−日本の内面生活の暗示と影響』ラフカディオ・ハーン(岩波文庫) 日本っていいな。日本人っていいとこもあるんだ。
泣ける話しがあったり、神妙になったり、笑ったり、ラフカディオ・ハーンって日本人以上に日本人なのですね。 『心−日本の内面生活の暗示と影響』を読んで、日本人であることに自信がつきました。 ラフカディオ・ハーンさん、ありがとう。 なんか日本ってつまんないナーって思っている人。これは絶対おススメですゾー。 わたし、もう海外旅行やめます。国内旅行一本にして、八雲を探して、松江に来週行ってきまーす。 (OL、24歳、旅ずきの女) |
『毎日の言葉』柳田国男(角川文庫)
「和の学校」ホームページはたいへん役に立っています。これからもどんどん充実を図ってください。 私は日本に来て10年になるフランス人です。 最近読んだ日本の本でおもしろかったものをご紹介します。 柳田国男の『毎日の言葉』は、わたし達、ガイジンにとって新しい発見がある、とてもタメになる日本語の本です。 日本人がふだんなにげなく使っている「ありがとう」や「すみません」「いる・いらない」などの言葉に隠れている深い意味が解説されています。 「ありがとう」は、もともと神仏に感謝するときの言葉だそうですが、フランスのメルシーも同じく「神の恵み」という意味があると言われています。言語は違っても、考え方は同じなのですね。それも発見でした。 わたし達ガイジンに限らず、日本の人にも読んでほしい本ですね。 (フランス語教師、43歳) ※和の学校注:こちらの本は現在品切れとのことです。 |
| 「ながい坂」(上・下) 山本周五郎 著(新潮文庫) 私は、この本を読むたびに勇気をもらいます。 この本の中には、今の日本人が失いかけている「大切な生き方」が 散りばめられている気がします。 江戸時代末期の士農工商、老若男女、さまざまな人々の生き方を描いた面白さと、主人公とそのライバルの対照的な生き方が心に残ります。 名家の御曹司として生まれ、並外れた才能と美貌を兼ね備えて育 ちながら、その重みに耐えかねて身を持ち崩すライバル滝沢兵部。 一方、貧しい下級武士の子として生まれ、人生の「ながい坂」を苦し みながらも登りつづけ、 遂には城代家老となる主人公の三浦主水正。 物語の中、薬店主から金儲けのため、薬草園をやるよう勧められた老人が「天然しぜんに育つからこそ、薬草にはそれぞれの精分や効力がつく。朝の露、夕べの霧、澄みきった山の気、そして朽ち葉や落ち葉の中で育つからこそ薬効が備わる。人間も同じだ」と言うくだりが胸を打ちます。 今の日本人が(私も含めて)僅かの物しか持たずとも、逞しく、 心豊かな生き方ができればと念じています。 (生徒会NO16 女性) |
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「會津八一と奈良」 ―歌と書の世界ー 西世古
柳平 著 入 江 泰 吉 写真 會津八一氏の自詠自書114首と入江泰吉氏 の写真で、奈良の四季をあらわした本。 (生徒会NO16 女性) |
| 「万葉集」 例えば) 信濃なる千曲の川のさざれ石も君し踏みてば玉とひろわむ こいまろび 戀は死ぬともいちしろく 色には出じ朝顔の花 など 31文字(みそひともじ)の中に、素直な心を 表現した1300年前の万葉びとは「凄い!」 と思います。 (現代人より一面すぐれているのかも。) 胸に響くうたが多く、「紐解く」まではいきま せんが、本を開くと時間を忘れてしまうこと もあります。 (生徒会NO16 女性) |
| 「恋するハガキ絵」淡交ムック 遊美シリーズ 清水佳代著 篠原宏明写真 ( 淡交社) 1300円(税込) 「絵手紙」という言葉が流行っていて、NHK教育とかでもちょっと前に番組があ
りました。 でもちょっと「絵手紙」って私達より年齢が上の人にブームって感じがしていま した。 この本はそれよりもっとカジュアルで、現代的な「日本のこころ」を感じさせて
くれます。 インターネットやメール、携帯電話…現代のコミュニケーションも、 それはそれで便利だし、それぞれの良さを持っています。 でも、一枚のハガキを書く(または描く)って今とっても新鮮で大切なことに思 えます。 一枚目だけがちょっとシンドイけど、 自分の机の上に色鉛筆や絵の具、筆やワリバシ (これがまた良い筆の替わりになるのです!これもこの本で教えてもらいました 。) がスタンバイされると、二枚目からは案外おっくうにならずに描けるものですよ 。 そうそう、たとえ描かなくてもこの本は眺めているだけでも癒されます。 一度手にとって見てください。だれかにハガキを描きたくなります。 (京都府宇治市 Rieko 39歳 会社員 ) |
| 「魔界都市・京都の謎」封印された闇の歴史を暴く 火坂雅志著 (PHP文庫 ) 552円(税別) 人間とはどうしようもないなぁ…というのがこの本を読んでの第一声であろうか
。 京都という都市は過去、人間の謀(はかりごと)や怨念、憎悪が渦巻き、 それを逃れるために、ありとあらゆる手段を使って「魔界封じ」を行っているの
である。 この本を読んでいるとそれらが具体的に説明されていて非常に興味深い。 美しい観光案内の本が多い中で、最近この手の本が出てきているが、 これはその中でもわかりやすいと思う。 本文の最後に索引もついていて便利でもある。 京都は本当にこわいとろこなんだ、 どこになにがドロドロ〜と出てきてもおかしくない…というのがよくわかった。 京都に行ってみたくなる一冊である。 (横浜市 高橋A夫 45歳 会社員) |
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「能百番を歩く」 京都新聞社編 定価2000円(税別) |
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「小倉百人一首」 大岡信著 (世界文化社) 定価1480円 |
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「千曲川のスケッチ」 島崎藤村著 (新学社文庫) |
東福門院和子の涙 宮尾登美子著 (講談社文庫 定価738円) 私は宮尾登美子の歴史ものが好きだ。歴史って教科書で習うとすごく難しくて、人間関係も全く分からない。教科書で習った時と違う視点で、その人にぐっと入り込める。また女性の行き方って、習わない。 和子は徳川家康の孫。家光と兄弟である。そして史上初めて、武家から朝廷に嫁いだ。 今でも京都には、和子が使用した物が残っている。それを拝見した時とても身近に感じ、また時代の重みに感動する。 いつの時代も一人の女性の思いは変わらないもの。 (滋賀県在住 20代女性) |
「日本文化私観」坂口安吾(坂口安吾全集14、ちくま文庫) ふだん、伝統文化についてあまり考えたことがない僕ですが、このエッセイによって、少し日本のことが気なりだしました。伝統文化なんかなくてもいい。日本精神なんか語らなくてもいい。日本をわざわざ発見する必要もない。なぜなら我々は日本人であるのだから、すでに日本文化を体現しているのだ。坂口安吾のそんな小気味いい文章は、伝統文化コンプレックスの僕をスッキリさせてくれました。だから最近逆に、日本のことが気になりだしたのです。頭の固い伝統文化ファンや食わず嫌いの伝統文化コンプレックスの方におすすめします。坂口安吾のエッセイは、おもしろいですよ。この文庫全集にいっぱい入っています。 (会社員35歳、外人に日本文化が説明できない商社マン) |
『日本の無思想』加藤典洋(平凡社新書)
欧米人と日本人の一番の違いは、日本人が「タテマエとホンネ」を使い分けることにある、とはよく言われるところ。特に日本の政治家は、「善処します」とか「前向きに考えます」のような発言が多い。公的な発言と私的な発言がまるでちがう。これは会社においても対人関係でも、言えることだ。 そんなことでは、日本人は今の国際社会では通用しない。仕事柄、外国の人と仕事することが多いので、はっきりと自分の意見を述べる英米の人間との違いを痛感している。 いつから日本人は、そんな気質を持つようになったのか。 かねてから不思議に思っていたが、そのことに真っ向から取り組んでいるのが、この本だ。政治家は、この本を読んで反省してもらいたい。 (会社役員、55歳、輸入業) |
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『風雅の虎の巻』橋本治 (作品社) |
『心−日本の内面生活の暗示と影響』ラフカディオ・ハーン(岩波文庫) 日本っていいな。日本人っていいとこもあるんだ。
泣ける話しがあったり、神妙になったり、笑ったり、ラフカディオ・ハーンって日本人以上に日本人なのですね。 『心−日本の内面生活の暗示と影響』を読んで、日本人であることに自信がつきました。 ラフカディオ・ハーンさん、ありがとう。 なんか日本ってつまんないナーって思っている人。これは絶対おススメですゾー。 わたし、もう海外旅行やめます。国内旅行一本にして、八雲を探して、松江に来週行ってきまーす。 (OL、24歳、旅ずきの女) |
『毎日の言葉』柳田国男(角川文庫)
「和の学校」ホームページはたいへん役に立っています。これからもどんどん充実を図ってください。 私は日本に来て10年になるフランス人です。 最近読んだ日本の本でおもしろかったものをご紹介します。 柳田国男の『毎日の言葉』は、わたし達、ガイジンにとって新しい発見がある、とてもタメになる日本語の本です。 日本人がふだんなにげなく使っている「ありがとう」や「すみません」「いる・いらない」などの言葉に隠れている深い意味が解説されています。 「ありがとう」は、もともと神仏に感謝するときの言葉だそうですが、フランスのメルシーも同じく「神の恵み」という意味があると言われています。言語は違っても、考え方は同じなのですね。それも発見でした。 わたし達ガイジンに限らず、日本の人にも読んでほしい本ですね。 (フランス語教師、43歳) ※和の学校注:こちらの本は現在品切れとのことです。 |
以下は上方芸能評論家の広尾晃 さんの投稿によるものです。
「市井の活字中毒者が食べるように読み、歩くように読んだ本のうんちく。
私的書評ゆえ役に立つとは限りませぬ 」
| 「木造校舎の思い出」芦澤明子 情報センター出版局 関東編 西日本編の2冊がある。写真は西日本編 ここには「日本の教育の姿」が映っている。「和の学校」のポスターをごらんになったことがあるだろうか。古びた木造校舎の廊下が低いアングルでとらえられている。これは広島県吉田町の郷野小学校の校舎。(ちなみに横の『木造校舎の思い出』の表紙も同じ郷野小学校)30歳以上の年齢の人ならば、この写真に郷愁を覚えることだろう。芦澤明子さんの写真である。 芦澤さんは日本で数少ない女性のムービーカメラマンとして活躍中。 一方で芦澤さんは木造校舎に限りない愛情を抱き、全国の校舎を撮影している。今ではすでに取り壊されて存在しない校舎がある。他の施設に転用された校舎もある。芦澤さんの取り組みは、貴重な文化財を映像として保存する活動でもある。 しかし、芦澤さんは郷愁だけで木造校舎を追いかけているわけではない。近年は学校の建て替えに際しても、効率優先の鉄筋校舎ではなく、木造校舎を建てる地方が増えている。もちろん、その校舎は旧来の古い木造と同じではなく、新しい考え方やデザインが取りれられている。芦澤さんはそうした新しい木造校舎にも美しさを感じ、フィルムに収めている。 学校の校舎は単なる建物ではない。使われている木材にも、建築、彫刻にも郷土の技術や文化、自然の特色が活かされている。大人たちが我が子に寄せる思いが込められている。明治以来の日本の進展を支えてきた教育立国の原点がここにある、といっても過言ではない。芦澤さんは、新旧の木造校舎を通して、日本の教育の姿を撮影していると言ってもよさそうである。 |
| 「宰相吉田 茂」高坂正堯 中公叢書 中央公論新社 偉大なリアリストを通して見る日本 ![]() 高坂正堯といえば、「保守反動」。そんな印象があった。何しろ「修身」の復活を唱えた高坂正顕の子だし、保守政治を常に擁護してきたし。でも、ソビエト崩壊後、左右の対立軸が見えなくなってから、その著書をじっくり読んでみると高坂正堯のどこが「保守」で、どこが「反動」だったのかわからなくなってしまう。あるのはしたたかで、冷静な視線だけである。 この『宰相吉田茂』は、高坂正堯の出世作だ。若干30歳にして戦後最大の保守政治家の本質に迫った。そして吉田茂を描くことで、日本の近代を描くことに成功した。吉田茂は「ウルトラワンマン」でもなく「ウルトラコンサバ」でもなく、「ウルトラリアリスト」だった。イデオロギーや安直な正義感に惑わされることなく、目的に向かってしたたかに動く。「国益」の2字のために、アメリカ相手に交渉術の限りを尽くす。英国で身に付けた外交官としての実力を、戦後日本の復興のために最大限に生かした。そこにヒトラーの魔性を戦前、ただ一人指弾しつづけ、首相就任後は英国勝利に向けて国民を一つにまとめあげたチャーチルに通じる胆力と、人間としての大きさ、品格を感じる。 翻って、高坂正堯自身もしたたかなリアリストだった。イデオロギーや「かくあるべし」論に凝り固まった論敵に、冷水を浴びせ掛けた。だから嫌われたのかもしれない。 日本の自動車がアメリカになだれをうって輸出され、「自動車摩擦」が起こったときに、高坂は「囲碁」を例えに出した。囲碁好きのおやじさんが若者に囲碁を教える。若者が腕を上げてくる。おやじさんは、一目落ち、半目落ちで若者と好勝負をしているうちは機嫌がいいが、真剣勝負でも勝てなくなってくると機嫌が悪くなり、あれこれと難癖をつけてくる。人間なんてそんなものだ。これをあのもっちゃりした関西弁で聞いていると、肩に入った力が抜けるような気がした。リアリストの真骨頂である。 高坂正堯のこうした冷静な視線の背景には、確かな「史観」がある。人間は過去に学び、歴史に学ぶことなく未来を見つめることはできない。その自明の理がある。ある意味で高坂正堯は司馬遼太郎に近い存在だったのだなあと思う。 未曾有の混乱が続くなか、私たちは高坂正堯も司馬遼太郎もいない時代に生きている。リアリストの視線を誰に求めればよいのだろうか。 |
| 「寛政重修諸家譜」 続群書類従完成会 全25巻 これは、江戸時代の「サラリーマン物語」だ。江戸時代は世襲社会である。父の仕事を息子が受け継ぐのがあたりまえになっている。それだけに、家系図は現在とは比較にならないほど重要だ。江戸幕府は直参武士の家系図集を何度か編纂しているが、その中で最も整備されているのが『寛永諸家系譜』とこの『寛政重修諸家譜』だ。この膨大な系譜集はちょうど19世紀のはじめの刊行、幕藩体制に制度疲労が見え始め、幕末に手が届こうという時代だ。 歴史家にとってこの本は基礎史料中の基礎史料と言ってもよい。ページを開ければ大名、旗本、御家人の家系図がびっしりと書き込まれている。さだめし無味乾燥の事実の羅列であろうと思われるあなた、ぜひ、仔細に見てほしい。実に味わい深く、面白いのである。 戦国時代の荒々しい気風が残る徳川幕府草創期の武士たちの人生は華々しい。徳川家康のお側近く仕え、敵の首をいくつも上げた者がいる。城の守備隊として切腹して果てたものがいる。ときには主君にたてついて出奔し、武芸の力で再仕官した猛者もいる。みんな骨太で男らしい。 それが、100年も経って、太平の世の中になると武士たちのスケールはみるみる小さくなる。多くは元服をすると将軍にお目見えをし、親の職を継ぐ。年を取れば永年勤続でお上から黄金やら時服やら菓子を賜る。それでおしまいである。さらに、この家系図は幕府の公式資料だから、個々の不祥事もあまさず書かれている。実質的に何の仕事もない「小普請役」が続き、退屈のあまり自宅で博打を開帳してつかまったもの。将軍が御成りの席で居眠りをして隠居させられたおじさん。庭の警備役をおおせつかって、暇つぶしに木に登っていて将軍様に見つかって改易(首)になったもの。刀を質に入れて流してしまい、しどろもどろの言い訳の挙句、江戸を追放されたもの。 これらが文語調で几帳面に書かれている。興趣が尽きない。まさに「小人閑居して不善を成す」だ。その挙句、旗本、御家人たちは数十年後に幕末の騒乱で惰眠から叩き起こされ、多くは没落していくのだ。 なにやら、身につまされる感じがいたしますなあ、ご同役! |
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「百物語」 杉浦日向子 新潮社刊(全3冊)
写真は3冊が一つになった文庫版 |
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「日本の苗字ベスト10000」 村山忠重他編 別冊歴史読本64 新人物往来社
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「日本仏教十三宗ここが違う」
大法輪閣 |
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「骨は語る 徳川将軍・大名家の人びと」 鈴木 尚著 東京大学出版会
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「ふりむけば日本」 李 正子著 河出書房新社
※和の学校注:こちらの本は現在品切れとのことです。 |
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「海峡を越えたホームラン」 関川夏央著 双葉社 |
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「聞く猿」 ナンシー関著 朝日新聞社
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「近代能楽諸家列伝」 穂高光晴 能楽出版社刊 |
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「暮らしと物価 大阪百話」 編集委員会 大阪市市民局生活文化部消費生活課
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「巨怪伝」 佐野眞一 文藝春秋
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「負けるな紙相撲」 徳川義幸 六興出版
ここには趣味の究極の形があるといっては言いすぎだろうか。誰に見せるのでもなく、何かを得るのでもない。自分と、同好の友だけのために、ひそやかに、しかし情熱的に愉しむ。大部分の人間には、こんなことはできない。趣味人としての才能がないからである。
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「鮓・鮨・すし」すしの事典 吉野f雄 旭屋出版
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「料理の鉄人」 扶桑社 フジテレビ
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「有価証券報告書総覧」 大蔵省印刷局
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