金剛流宗家 金剛永謹

〔能とは〕
音楽的かつ舞踊的に表現される歌舞劇です。
音楽的要素は謡(うたい)と囃子(はやし)であり、舞踊的要素は演者の動きです。
その謡本(台本)はもちろん古典語で引用の詩句も多く、古歌や古文をたくみに応用した流麗な文体で書かれています。そこに節とリズムが組み合わされるのですが、リズム一つをとってみても、決して単純な等間隔な波ではありません。それでいてしっかりと規範にかなっているのです。

これに面と美しい装束をつけた演者の動きがとけあって、能独特の雰囲気を作り出します。
謡の基本である能の発声法も、アゴを引き舌や咽喉をおし下げる能独自のものです。
また、役柄の違いを声そのもので演じ分けず、老人でも女でも男性的な太い声を用い、息づかいや抑揚のテクニックで役柄や内容に応じた変化をつけます。



〔能は歩行の芸術 〕
能は歩行の芸術であると言われています。
白足袋を穿き、舞台に足の裏をぴたりとつけ摺り足で安定かつ滑らかに運歩します。
これを運び(はこび)と言っています。運びの歩幅、速さ、重さなどの変化によって演技の表現をします。






〔能は象徴芸術 〕
能は象徴芸術、集約芸術と言われています。
むだを省き、動きを切りつめ最小限の演技で、最大限の効果を上げるよう工夫されています。
これは禅の思想、茶道の精神にも見られるものです。
舞台で使用する作り物(道具類)にそのすぐれた演出を見る事ができます。

「井筒」の井戸
「松風」の塩汲車




監修:種田道一
1954年 京都生まれ 。
能・五流の一つ、
金剛流の職分(家元の補佐を代々続ける家)
である 種田家の4代目。
93年度、京都市芸術新人賞を受賞。
98年、重要無形文化財(総合認定)に指定。