(学研「日本タテヨコ JAPAN AS IT IS」より)


【文楽】

歌舞伎とともに近世演劇を代表する文楽は、文楽座から発祥した操り人形芝居の名称で、別に人形浄瑠璃とも呼ばれる。 文楽は起源は室町時代で、江戸時代になり、京阪を中心に発展し、完成した。

太夫・三味線弾きが義太夫浄瑠璃を演奏するのに合わせて人形を遣う。しかも一つの人形を3人がかりで遣う。
人形は首・肩板・胴・手から成り、足は原則として男にしかなし。
1mから1.5mの大きさで、重いものは10kgにもなる。主遣いが首・胴・右手、左遣いが左手、足遣いが足を受けもつ。女の人形には足がないのが普通だが、着物のすそをつまんでさばくことによってそれらしく見せる。本来表情のない人形は、黒い頭巾、黒い衣服をまとった人形遣いによって魂を吹き込まれたかのように、嘆き、笑い、怒る。 代表的作家近松門左衛門は江戸時代に、『国性爺合戦』『曾根崎心中』『心中天網島』など不朽の名作を残し、それは今も観客の胸を打つ。武家社会を題材にした時代物にしろ、庶民を主人公にした世話物にしろ、人間や人間関係の本質を詩情豊かに追求したところに、時代を越えて人々の心を動かさずにはおかないものがあるのだろう。また文楽は人形劇とは言え、大人を対象にしているところにも特色がある。文楽は現在、重要無形文化財となり、人間国宝に数人が指定されている。