(学研「日本タテヨコ JAPAN AS IT IS」より)



【邦楽】


邦楽の種類
邦楽は、一般的には、日本の音楽の総称であるが、普通には洋楽の対語として用いられ、洋楽以外の日本の伝統音楽すべてを指す。用いる楽器の種類によって次のように分類することができる。

■雅楽 
宮廷の行事の際に演奏される儀式音楽。古代に中国・朝鮮半島から入った音楽で、日本音楽の最も古い姿を残しているものと言える。

■声明 
仏教の典礼音楽で、声楽。仏教伝来とともに輸入され、その後の日本音楽に大きな影響を与えた。

■琵琶楽 
戦国時代以降、戦記物などを琵琶の伴奏で語る音楽として発達した。弾き語りで演奏される声楽曲である。

■能楽 
現在の「能」の形式が大成したのは、室町時代初期である。能は、音楽と舞踊と劇の総合芸術であり、能の音楽は、「謡」という声楽と、「囃子」という器楽から成り立っている。

■箏曲 
箏曲とは、琴の曲のほか、琴・三味線・尺八の合奏曲も指す。琴は13弦の撥弦楽器。江戸時代に三味線音楽と結び付いたことによって発達した。大正から昭和初期にかけて数多くの名曲を残した宮城道雄は、箏曲界に大きな影響を与えた。

■尺八楽 
尺八は鎌倉時代から虚無僧が読経の代わりに吹いた立笛。長さが1尺8寸(約55cm)であることから、尺八と呼ばれた。

■三味線音楽 
三味線は、3弦で、猫か犬の皮を張った胴をもつ日本の代表的な楽器。江戸時代に広く使われるようになった三味線は、歌舞伎・人形浄瑠璃などの劇場音楽として、また数多くの歌い物音楽の伴奏として現在も使われている。

■民謡 
各地で歌い継がれてきたもの。労働歌が多い。

邦楽の特色
洋楽の音階が7音音階であるのに対し、近世邦楽は5音音階である。リズムは、2拍子、4拍子の偶数拍子が大部分で、3拍子はほとんどない。歌が多く、純器楽曲は少ない。楽器は、ふつう声楽の伴奏楽器として用いられるが、声楽の進行と微妙に一致しない複雑なズレがある。また、三味線・琴・尺八など、楽器の構造に由来する雑音的要素も邦楽の複雑な音色として好まれる。 明治に洋楽が入って以降、洋楽が日本の音楽の主流で、邦楽は洋楽に圧倒されてきた。しかし、近年、邦楽が見直され、愛好者も増えている。外国人の愛好者も多くなった。