五代目柳家小さん

大正4年(1915)-

四代目柳家小さん門下で栗之助、小きん、小三治を経て五代目小さんを襲名。先日歌舞伎の六代目中村歌右衛門が没した。歌舞伎愛好家は20世紀の歌舞伎の扉が音を立てて閉まるのを実感したはずである。小さんも同じような存在だ。若いころから抜きん出た才能を評価され、自分の父親クラスの芸人(小さんの場合は志ん生、文楽、円生)と同列に扱われた。彼らの没後は孤高の存在になった。巧まずして人をひき付ける話術、スケールの大きさ、そして息の長さ。幸いなことに健在である。夏目漱石が「小さんは天才である。(中略)実は彼と時を同じうして生きている我々はたいへんな仕合せである」と言ったのは、今の小さんの大師匠の三代目小さんだが、五代目もそう いっても良い存在だ。