単に芸人が舞台に「出る」というだけのことなのに、なぜこんなに胸がときめくのだろう。

「鞍馬」の出囃子が聞こえると心は騒いだ。上品な色合いの高座着の十代目金原亭馬生が、真っ白な足袋の裏を見せて軽やかに、にこやかに登場した。まさに「待ってました」である。

ガンガン、どらの根太い音が響き、「船行き」の出囃子がかかると周辺の空気がぴりりとなる。六代目笑福亭松鶴が不自由な足をかばうように少しかがんだ姿勢で舞台に出る。今日は六代目は気合が入っている。ひときわ大きな胴間声が聞けそうだ。

いくらでも書けそうである。