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《「にほんのこころ」は平成14年から15年にかけて取材させていただきました 》

生麸とはー
麸といえば、すきやきに入っていたり、お味噌汁に入っていたりする乾燥した「麸」を思い浮かべますが、もうひとつ「生麸」というものがあるのをご存知ですか?生麸は、小麦粉を水で練り、水で洗いながらでんぷんと小麦タンパクのグルテンを分離させて作ります。 そのしっとりとした味わいは、京料理や精進料理に欠かせない存在です。
麸の歴史
 
利休百会記
利休のおよそ百回の茶会記をおさめてあります。1680年(延宝8年)の版行も伝えられていますが、利休好みの道具立て、懐石などを伝えるために広く、流布されたとされています。ここに麸の文字も、ふのやきの文字も見ることができます。
 
 
 
駒札
麸屋町
京都御所へ出入りのための門鑑です。江戸時代のもの。表には「禁裡御所」の文字。裏には「大和屋嘉七」の墨書があります。この嘉七の名をとって現在の「麸嘉」の名前があります。
 
京都に今も残る「麸屋町」は南北に伸びる通りの名前。織田信長の時代の天平の始めの頃、麸屋が軒を連ねていたと言われています。
 
京生麸の特徴
 
生麸とは
小麦粉に水を入れ攪拌し、寝かせて塩を入れ、さらに攪拌すると澱粉とたんぱく質のグルテンに分かれます。そのグルテンにもち粉を加えて生麸の基礎ができます。これを蒸したり、ゆでたり、揚げたりして、いろいろな麸が出来あがります。
 
   
京都は昔から水質の良い地下水に恵まれています。 麸嘉では代々、ひとつずつ井戸を掘り、小堀さんも昭和55年に深さ60mの井戸を掘りました。 麸づくりには水が大量に必要です。また、年間を通して15.8度に保たれる水温が麸づくりには欠かせません。 現在、店の前では誰でも使用できるように、その井戸が開放されています。
   
さまざまに加工される生麸
   
ゆでる。
 
揚げる。
 
   
ひきのばす。
 
焼印を押す。
 
   
生麸の種類
夏は30から40種類あり、冬には200もの種類が作られます。
麸饅頭
手毬(てまり)麸

青海苔を生麸に練り込んで、中に甘味を抑えた、こしあんが入っています。笹は京都市の来たに位置する花背のもの。この笹も今では採る人が少なくなっています。

 

本来は汁の実になるくらいの小さなものが主です。白い麸の玉に、赤・緑・黄などの麸を細く糸のように伸ばして巻き、まりのようにしていきます。

 
 
紅葉麸(もみじふ)
利休麸
生麸を引き伸ばして、紅葉の型に入れてこれを作ります。これを調理するときに小さく切ると紅葉のようになるのです。季節によって緑、赤、黄と染め分けます。
 
油で揚げ、熱湯で油抜きしたのち、煮て調理します。茶懐石でよく使われるので「利休」の名が付けられています。
 

   
胡麻麸(ごまふ)
蓬麸(よもぎふ)

 

 
 
 
粟麸(あわふ)
 
 
料理
 
料理に生きる麸
京料理や懐石料理、精進料理には生麸は欠かせません。その中でも麸を新しい目で料理する人がいます。
創作京懐石店を営む鈴木さんは、新しい麸の料理を考え、それを小堀さんに相談します。鈴木さんのお店では11月、12月にはフォアグラ麸やすっぽん麸を出しますが、それを作ってくれるのも小堀さんです。「麸は京料理にとって欠かせないもの。何とあわせても頂けるもの。 小堀さんも、いやだとか言いながらも作ってくださいます。名脇役でありながらそれでいて存在感を示す・・・。こんな良い素材が身近にあって使わせていただけるありがたさを感じます。」(くずし懐石「縁」075-221-9223)
思い
   
意見広告

昭和56年、麸嘉は京都の水の大切さを訴えるために、京都新聞に一面広告を出しました。 子の広告の文章を読んで多くの人が水に対して関心を寄せるようになりました。

 
   
おたふく
約15年前、ニューヨークタイムスに広告を出しました。 豆腐や醤油のように、アメリカで麸が食べられるようになることを願って世界の人に「麸」を知ってもらうために、そして多くの人に出会うために。 その反響は大きく、今でも年間200人くらいの外国の方が見学に来られるとか。このおたふくのデザインが現在ののれんになっています。
   
 
ソフトの蓄積
「江戸時代にはグルテンに米粉を混ぜたり小麦粉をまぜたりいろいろやっているんですが、今はもち粉をまぜているだけ。今のほうが進歩していないんですよ。マニュアル通りに生きるとつらいから、新しいものにチャレンジしたほうが良いと思っています。伝統というのは皆さんが思うほどには私は重圧に感じていません。どうせ死ぬまで麸屋の世界で生きていくんですから、面白楽しくやっていくほうが、人生、いいんじゃないかと思っています。間違えたらやり直したらいい。」

「食品以外のことも考えたりしているんです。工業製品に使えないかとか、ソフトセラミックスですね。」

「先行して物事をやっても、なかなか理解してもらえませんが、老舗というのはソフトの蓄積がいかに大切かということを思います。無駄なことも含めて蓄積なんです。そのソフトが一代にひとつ以上、残していくのがこの仕事の将来につながっていくのだと思います。」

「麸は可能性をいっぱい持っています。素材も含めて、どういう人に出会えるか。フランス人のコックかもしれない。アメリカ人かもしれない・・。私が生きている間に出会えればいいし、できなくてもそれを次の世代につなげれば良い。そういうことを毎日期待しています。」
   

麸嘉
〒602-8031京都市上京区西洞院通椹木町上ル
TEL 075−231-5561または1584 FAX 075-231-3625

 
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