京唐紙 唐長
(京都府京都市)

京都市左京区、修学院離宮の近くの閑静な住宅街の中に唐長はあります。

京唐紙とは、襖に施される一種の版画で、桂離宮や寺院、茶室などに現在でも使われています。 和紙に雲母(キラ)や絵の具を使った美しい文様は、公家好み、寺社好み、茶方好み、町家好みなど範囲は広く、現在でも新鮮で洗練された美しさがあります。

唐紙の起源は平安時代に遡り、もともとは詠草料紙(詩歌を書き記す紙)として作り始められ、後にそれが襖に張られるようになりました。

大きく発展したのは江戸時代中期といわれています。

十七世紀半ばに創業した「京唐紙」の「唐長」には1792年を最古とする板木が約600枚あり、幾多の災害をくぐりぬけて現在まで受け継がれています。

現在、京唐紙を製作しているのは、日本でもこの「唐長」一軒だけ。
ここの十一代目 千田堅吉さんにお話を伺いました。


こちらの施設では
唐長さんの作品を展示されています。
社会福祉法人三輪会
ゴールドヴィレッジほどら


京唐紙文様の種類の説明はこちらをご覧下さい。

京唐紙の道具の説明はこちらをご覧下さい。



唐長 京唐紙製作風景
2001年5月22日


唐長のご主人 千田堅吉さんの製作風景です。

唐長の工房です。壁には多くの種類の紙が棚に収められています。
紙も和紙をそのまま使う場合と、具引きといって地色を顔料や染料で染める場合があります。
雲母や具(絵の具)を
板木につけるための刷毛。
ふっくらとしてやさしい 千田さんの手。
雲母(キラ)や絵の具を
刷毛で「ふるい」という
団扇のような道具につけます。
板木にふるいで雲母をつけます。
やさしくポンポンとのせるように。
このとき、音と糊のはなれ具合で
絵の具のつきを 見極めます。

その上に静かに紙を置いて・・・


普通の版画のように、
バレンで強くこするのではなく、
やさしくなでるように手で摺り付けます。

何回もふるいで雲母を板木にのせます。
静かに板木から紙をはなします。
出来上がった京唐紙。
「梅の丸」という柄。

襖など大きな面積の物の製作にあたることが多いので、柄のつなぎ具合が難しいとのこと。
また、絵の具と糊がなじむまでに時間がかかるので、何枚も刷ってなじませていくとのことです。

「なんとか刷れるようになったなぁ・・・と自分で思ったのは
5年くらいかかったでしょうか。」 と千田さん。



京唐紙の小物

唐長には、二人の息子さんと一人娘さんがおられます。
三人ともこの仕事を継がれるとのことです。

これは 長女の愛子さんが商品化したポストカードです。

工房の隣に小さなショップがあります。
京唐紙は現在も「襖紙」として製作されていますが、
より多くの方に親しんでもらおうと
ポストカード・レターセット・コースターなど
小物類が製作されました。

今年からはもう少し優しい本来の唐紙の色にして、
季節ごとに色も変えていくとのことです。

「修学院という京都の北の端にあるこの地ですが、
最近はここまで来られるお客さんが多いので、
ありがたいと思っています。」
京唐紙で作られたランプ。
和紙で作られた便箋。
千田さんと娘の愛子さん。 いつも仲の良い親子です。
このお二人に加え、千田さんの奥様と息子さんたち家族全員で、
京唐紙ともの作りの心を誠実に守っておられます。

「良いものを残していきたいと思っています。うわすべりの伝統は良くない。
奥深い伝統の良さを出しながら、今に生きる京唐紙を守っていきたいと思います。」
と静かに語る千田さんの言葉は、まるで静かに光る京唐紙の雲母のようでした。

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