京唐紙 文様の種類

現在の唐長は、昔からの板木で文様を摺っています。
伝統の良さを生かしつつ、シンプルに・・・ という姿勢を変えずに製作されています。

京唐紙の文様は、本阿弥光悦や俵屋宗達 の影響を大きく受け、
350年以上の長い年月を経ていますが
まったく変わらずその板木を現在も使用しています。

唐紙の文様は、使う人の生活感覚や、社会的地位によって好まれるものが異なります。
大別すると以下のようになります。


伏蝶丸
影日向橘
 
公家好み

最初に唐紙を用いたのが公家でした。公家たちは有職文様を好んで用いました。

菊、桐、藤、竹、楓、松などの草花文を、菱、角、蜀江(しょっこう)、円、襷(たすき)、立涌(たてわく)、七宝(しっぽう)などの幾何文と組み合わせたものが多く、また、鶴、雲文、青海波なども好んで用いられました。

御所関係では、萩の丸・梅の丸のような丸紋が多く、雰囲気は、雅で気品があり、優しい雰囲気のものです。

遠州輪違
影雲
 

寺社好み

一般の住宅に比べて、広い空間の多い寺社では、瑞雲(ずいうん)、霊芝雲(れいしうん)、大頭雲(だいとううん)などに代表される雲文など大柄の文様が好まれました。

唐長には各お寺の寺紋の版木が数多くあります。
約百枚ほど保存され、現在もよく使われています。
たとえば、東西本願寺の抱き牡丹、下がり藤、知恩院の三葉葵、抱き茗荷(みょうが)などです。

紋の大きさは平均すると六寸径から七寸径。
仕上げはほとんど千鳥型に配列され、雲母押しが多く、時には金箔、銀箔押しもあります。


細渦
千家小桐
 
茶方好み

茶道は、室町時代に交際礼式として形づくられ、その中で「わび」という日本独自の芸術美の感覚が深められていきました。
したがって、唐紙の文様も、茶人たちの洗練された感覚で選ばれ、茶道の家元は独自の柄を彫らせたりもしました。

茶方好みの唐紙には幾何文様はあまりなく、植物文様、特に桐文が多くあります。
唐長には茶方好みの板木が多く残されています。

特に有名な文様は、表千家の残月亭に使われている千家大桐および鱗鶴(うろこづる)、裏千家好みでは四季七宝、細渦(ほそうず)、武者小路千家好みでは吉祥草(きっしょうそう)、太渦 (ふとうず)などがあります。
いずれも繊細で、とくに洗練されたデザインです。

その他、千家好みであった千家松葉、丁子型、銀杏(いちょう)の丸、などの板木が数多く残っています。

光琳枝梅
影日向蘭の花
 
町家好み

町家好みの板木は種類が豊富です。花鳥風月、光悦・光琳好み、小紋柄に分けられますが、梅、桜、秋草 、雪花など、四季折々の文様が数多くあります。
全体につつましい、小柄なものが多いようです。

角つなぎ
根引松
 
武家好み

武家好みの板木は、幾何文様など、硬さのある文様が多くあります。
代表的なものが根引松(ねびきまつ)、紗綾(さや)型、雲などです。
これらの文様の種類は豊富で、それぞれ十種類前後あります。

雰囲気は男性的で、大正・昭和初期に好んで需要があったといわれています。


文様及び文様の説明は
「唐長の京からかみ文様譜」(京都書院アーツコレクション31)より
抜粋いたしました。
※この本は現在廃版になっています。

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