(京都府宇治市)


ロクロ

2002年2月21日

本格的に陶芸の道について、27年の歳月が流れました。豊斎氏が永遠のテーマとする宇治の土・松割木の炎・そしてロクロの技。歴史を重ねてきた宇治の土、土作り、そしてロクロ。すでにどれほどの手が加えられてきたことでしょう。「土は生きている。その力に手助けしているだけ。」という思いを胸に、一つの土の塊が豊斎氏の手によって、ぐんぐんと生命を受け、次々と茶碗がつくらていく様子をご紹介させていただきます。



朝日焼のロクロの一日をおいました。


| 土揉み | ロクロをひく | 削り | 思い | 

土揉み
一般には「土練り」または「土揉み」と言われていますが、京都では「土揉み」というそうです。これには2つの揉み方があります。まず最初に「荒揉み」といって土を均一にする為に大きく揉んでいきます。
次に「菊揉み」「捩(ね)じ揉み」と言って土の中にある空気の気泡を抜く為に、菊の花びらが順々に回っていくように揉んでいきます。一気に最後まで揉みあげます。

 

ロクロをひく
豊斎氏の大きな手が土を殺します。土の中に空気のない状態、土を圧縮することを土を殺すといいます。しまっていない土は、すぐにひび割れたりするからです。
土取りをします。これだけの土でお茶碗を作りますよ、と言って土を取ってくることを言います。一つの形をひくときに試行錯誤を繰り返しているうちに、適度な土が取れるようになってきます。
土を伸ばしていきます。茶碗の内側にこてを添え形を作っていく手助けをします。
この道具を「こて」と言います。道具はみんな手作りです。
「自分で作る物の道具は、自分でメンテナンスすることが大切。」

土が伸びようとする力に手助けをして、土自身が伸びてきたとき、美しいロクロ目がつくと言われます。「即ち、美しく土を伸ばしてやるのです。」

「とんぼ」という道具を使用し、お茶碗の深さと口径を計ります。
口縁を撫で皮(鹿皮)で整えます。口作りは非常に大事なポイントです。撫で皮を当てる前に口縁をしっかりと作っておくことが大切です。
糸切りで茶碗を切り離します。
茶碗が土の塊から切り離されました。
美しいロクロ目が出ています。
土の生命力と豊斎氏の手助けによって、ロクロの美しさが形となって生まれてきました。
切り取られた後の土の塊です。ここからまた次の茶碗が生まれてくるのです。
次々と茶碗が作られていきます。

削り
この土の台はシッタと言われ、この上に茶碗を乗せて削ります。

底の位置まで「かんな」で削り出します。それぞれの窯がそれぞれの工夫を持って使われるかんながあります。朝日焼にもここオリジナルのかんなが使用されています。

高台を削り整えていきます。
茶碗の底をとんとんと叩いてみます。これは茶碗が「もっと削ってほしい。」と言っているのか「もういいよ。」と言っているのかを確認するためです。土と対話をしながら茶碗は作られていくのです。
最後に「朝日」の刻印が押されます。単なる過程のひとつというのではなく、一度ここで緊張感を持って押していきます。
朝日という印が続く中で、十五代窯元松林豊斎氏だけの刻印。



思い

「私にとって目的は土そのもの。土自身の成長する力、土が伸びようとする力を手助けしているだけ。ろくろで土が形をつくる。」技術的にも精神的にも精進しなければ手助けは出来ません。この手助けこそ土が必要としている力であり、豊斎氏の手元から生命を宿った茶碗なのです。なんの装飾もなくそぎ落とされた土の美しさ、それが最後に松割木の炎によって、京の雅が醸しだされた茶碗となる。そのロクロする魅力ある姿、釉がけされた茶碗を予見するかのように見つめる目、しばし魅入ってしまった取材でありました。


次はロクロをひいた茶碗に釉がけする様子をご覧ください。

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