(京都府宇治市)




窯焚きの日

2001年5月19日

今日は窯焚きの日。
遠くからでも煙突から黒い煙が立ち昇るのが見えます。

窯焚きの前にはいくつかの工程が踏まれています。ひとつには窯の成功を祈る「愛宕山参り」。
そして朝日焼にはなくてはならない松割木の準備。

何ヶ月間か頑張ってきた成果が火入れの瞬間に決まります。「いい窯を焚かせていただきたい。」という気持ちが込められた豊斎氏と工房の皆さんの熱いまなざしと炎に取り組む姿をご紹介いたします。

 


 


朝日焼の窯焚きの一日をおいました。

| 愛宕山参り | 松割り木 | 火入れ | 焼成 |

愛宕山参り
すがすがしい宇治の朝です。窯焚きの前、窯の成功を祈り愛宕山に参ります。

お母様と奥様のお見送りです。

愛宕山は京都の西側にそびえる火の神さまで有名な京都を代表する山です。
表参道から登っていきます。
3合目を過ぎたあたり、少し体も楽になってきました。
 
7合目からは京都市内が一望できます。
ようやく山門まで来ました。
最後のこの階段がきついのです。
神門が見えてきました。標高924m、山頂には愛宕神社があり、京都の都の安全を見守っています。
「上手く窯が焚けますように。」今回の窯の成功を祈ります。自分の気持ちを清らかにし、ただひたすらな気持ちを一本一本の松割木に託して投げ入れていきます。今回もしんどかったけれども頂上でお参りすることができた、という清々した気持ちで窯を焚く。それをしなければいられないという気持ちに駆り立てられ毎月愛宕山に参るのです。

松割り木


ひとつひとつが手作業です。勿論薪も皆の手で割っていきます。

今回の窯の為に随分と多くの松割り木が準備されてきました。4トン車4台分にも及びます。


火入れ

昭和50年に竣工された「玄窯(げんよう)」は、 奥深くはかり知れないという意味の込められた、 十四世窯元が十年来心血を注いで研究された、 登窯に穴窯を併設した大きな窯です。

初窯の火は宇治神社より火打石で聖火を頂戴し
この灯明に移し運ばれました。

焼成(しょうせい)はやきもの作りのクライマックス。
期待と緊張を胸に抱いて、灯明から火が窯に移されます。
窯の成功を祈る工房の皆さんの姿です。
朝日焼の特徴である御本手はガス窯や電気窯ではあの素晴らしい模様を出すことはできません。
まずは2日間かけて登窯と穴窯という大きな窯を低い温度で温めます。

焼成
窯焚きの煙が上がっています。
この窯は松割木の窯とも呼ばれ、自然の織り成す模様は松の割木でのみ引き出されます。
ここでは松割木だけが使用されます。  
焼成の色見を取り出しているところです。
取り出した色見を水で冷やします。
窯の温度はすでに1200度まで上がっています。
取り出された色見で、釉の溶け具合を見、松割木をどのくらいくべるのかを判断します。
豊斎氏から、松割木をくべる声がかかります。
どんどんと松割木が窯に放り込まれていきます。
はりつめた緊張感が続きます。
1回ごとの焼成の色見とゼーゲルを窯の個所別に整理した盤。 色見とゼーゲルは焼成中の釉の溶け具合を判断する為のものです。
燃えつきた松の灰と土の中の長石が反応して出来たものが自然釉です。ガス窯では味わうことのできない自然の力も、人間の勘と力によるものです。
貴重な松割木はくずも無駄にはされません。
焚き口から洩れる炎が神秘的です。
常に炎を見つめ、対話します。
登窯ののぞき穴から炎の走り具合を見、ゼーゲルがどのようになっているかを確認します。
「いい炎になってきた!」炎を見つめる豊斎氏のきびしい目が続きます。
松割木は左右の焚き口から、同じようなリズムで、同じ本数だけほうり込まれます。これは窯の中の左右の温度差が出ないようにする為です。
両側から元気な声がかけられます。
工房の皆さんが心をひとつにして炎と取り組みます。
だんだんと夜が更けていきます。本格的に火が入れられてから明け方の5時頃まで作業が続きます。
3日間の焼成が終了するのもまじかです。

土と水に恵まれた宇治朝日。素直に焼いてやりたい、という想いで炎を見つめる
豊斎氏と工房の皆さんのまなざし。如何でしたでしょうか。

次は期待と不安の窯だしの一日をご覧ください。
         

 


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