辰野さんの笛はみんなのリクエスト。
「荒城の月」「月の砂漠」を演奏してくださいました。みんなしっとりとした気分で聞きました。
辰野さんもお話をしてくださいました。
「奈良県にも吉野川という川があります。僕は13年位前から野田さんと障害者カヌーというものをやってきました。
ある集まりで、ポリオ・・・脳性小児麻痺の人がビールを注ぎに来て「カヌーを教えて欲しい」と言ったんです。彼はたまたま気持ちよさそうにカヌーを漕いでいる人を見て、自分にもできるかな?と思ったんだ。それを聞いて僕は『面白い!』と思った。『手が動けばいけるんとちゃうか?』と思ったんだ。
それから野田さんと障害者カヌースクールというのを奈良県の吉野川でやりました。ボランティアの人もたくさん集まった。
みんなでカヌーを練習して30分ほどしたら、ある障害者の人が「辰野さーん」って僕を呼んだのね。
「あんな、俺、障害者ゆうの忘れてたわ」って。
彼は最初からの障害者じゃなくて、事故で中途障害になった人です。 そういう人は、夢で自分が野原を走り回っている夢を見るそうです。そして朝になったらがっかりする・・・それを繰り返すそうです。
でも、カヌーに乗ったら、行きたい方に行ける。夢に見ていたことができる。自分が歩けないことを忘れていたって言うんです。
それを聞いて『すごいな、やってよかったな』 って思いました。障害者がオリンピック選手になったらすごいな!って思いました。」
「大阪ふれあいセンターの温水プールで、やはり障害者にカヌーを教える教室がありました。
中学生くらいのサリドマイドの男の子が『お願いします』って来たんです。彼の腕の左は付け根からなくて、右は2cmくらいしかない。そんな彼が、カヌーを教えてくれって。それでやってみました。彼は『パドルをあごにはさんでください』って言ったのでそのとおりにした。そしたらうまいこと漕げるんや。
体全体を使って、2cmしかない右手でパドルを上手に返す。
それを見ていた他の障害者が『どうして漕いだらいいかよくわかった』って言ったんだ。 」
「人間って与えられた能力を使ってないなぁってそのとき思った。2cmしか腕の無い人はその2cmの腕を100%使っているよね。」
「今週末も奈良の吉野川に行きました。全盲の人、腕の無い人、知的障害の人もいます。
今回は、腕の無い人のために足で漕げないか、工夫してみました。ぞうりにガムテープでパドルを貼り付けたら、これがうまく焦げるんや。全く違和感ない。」
「みんなは両手も両足もあるね。でも、そういうことがあるっていうことを知っておいて欲しい。
もしかしたら、オリンピックで戦わなくちゃならないかもしれないよ。」