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二月は寒い厳しい時ですが、今年はソルトレークオリンピックがあったせいか、あっという間にすぎ、寒いよりもむしろ"熱い戦い"を見る事ができました。以前は寒いというとただ通りすぎるのを待っていた私ですが、ここ数年はウインタースポーツの面白さに目覚めたせいか、この寒さと寒いがゆえに生み出される美しさを楽しめるようになってきました。
私がぜひ見てみたいと思っているものの一つに山形の蔵王の樹氷があります。樹氷がつくには、季節風で運ばれる雲粒と雪片が多いことと、それが常に一定方向の強風と低温で運ばれなくてはいけないという条件があるそうですが・・・ 写真で見るだけでなく、自分の目で捉え、自分の心で感動を覚え(しかも、それらをスキーをしながら!!)、その感動をぜひいけばなとして表現したいと思います。これが難しいのですが・・・
今、日本は個人の個性や感性を重んじる時代へと変わりつつあります。いけばなの世界でも、いける人の自由な発想や想像力を重んじ、いけなばを作者の心象を映す造形物、メッセージを主張する創作品として捉える考え方が生まれてきました。自由花では、花は純粋に創作の素材として捉えなおされ、モビールやレリーフ(下記※)といった自由な形に表現されます。こうしたアートとしてのいけばなのあり方から、従来とは異なる新しいいけばなの世界が広がっているのです。
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平成13年度 旧七夕会池坊全国華道展 池坊 由紀作品 (自由花(レリーフ))
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日本画・いけばな・陶芸のコラボレーション「千住博・池坊由紀・近藤高弘展」でご一緒している、近藤高弘氏にお願いし、三人展とは違った見せ方で器をいかしてみるように心がけました。伝統的な素材である竹から(竹の持つ)形の面白さ、しなやかなうねりを捉えることにより、高弘氏の
器の持つ日本的な色とのハーモニーを生み出しています。
※「モビール」
モビールはいけられた花が、風などの影響によって動き、空間で変化を感じさせるいけばなです。やじろべえの原理を生かし、バランスを考えながら構成していきます。
※「レリーフ」
壁面に飾る絵のような掛け花と考えればよいでしょう。その材料としては、多種多様なものが用いられますが、自然のままの植物美を生かしたり、異質的な材料を用いて造形的に制作します。
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いけばなの良さ、魅力は、たとえば樹氷の美しさに心うばわれたなら、それをそのまま再現することではなく、自分の美意識や色彩感覚のフィルターを通して、つちかった技術を用いて、一つの異なる世界を生み出すことです。同じテーマでも、同じ花材でも表現される世界は、皆違います。そして、だから難しくもあり、楽しくもあるのです。
時々、北国へ行きますと、北の国のイメージを皆様がいろいろな方法で表現されているのに出会います。北国の澄んだ空気、緊張感、白の持つ透明感、冬の厳しさ、そして、だからこそ芽吹きを喜ぶ思い等、一つの作品から私は作者のイメージを感じる事ができるのです。
94歳になる長岡輝子さんは、たまに学校に声優としての指導に行かれているそうです。その折、大切なのは「うまく」ではなく「いかに自分らしさを出せるか」だとおっしゃいます。伝統文化という世界にいる人間はなおのこと、その自分らしさが必要なのかもしれません。自分の伝えたいメッセージが明確に打ち出せたとき、自分の心が素直にさらけ出せたとき、最もオリジナリティーがでるのかもしれません。とはいうものの"感動を覚える"、そして、"伝えたいメッセージがある"というのが、今一番むずかしいことかもしれませんが・・・
物の豊かな、そして、混沌としている時代だからこそ、伝統文化を通して先人の心、今の自分の心を見つめ直したいですね。
2002.02.22掲載
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