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おぼろ月

 花々が楽しげに咲き、緑も若々しく、自然の草木がいっせいに生命の素晴らしさをおう歌しているかのような様子に、こちらまでが何となくHAPPYな気持ちになってしまう今日この頃です。帰りの遅くなったある晩(どうして遅くなったかは、ご想像におまかせします)、おぼろ月が浮かんでいました。冬の冴えわたった空に見られる月もすっきりとして素敵ですが、このほのかにかすんだ月も冬にはない優しさや甘さが漂っていて、いかにも春という感じがしていいものです。

 美しい月を見ると素直に「綺麗」と思いますが、昔の和歌をひもといてみるとおもしろいことがわかります。昔は美しい月にやや雲のかかっている状態、すなわち、月がすべて見えるのではなく一部は雲によって隠れている状態の方を、すべてがきれいに見える満月よりもより美しいものとして捉えていたということです。それは、「この雲がどこかに移動したら、どんなに美しい月が見えるのだろう」と人が想像する。その余地を持たせることのできる月の方には、情緒性があり余情がある・・・だからこそより美しいとのことです。

 考えてみると、日本の文化というものは、目に見える形以上にその背後にこめられた思いや情というものを大切にしてきました。あいまいといえばあいまいですが、だからこそ文化の発信者も受け取る側も豊かな感受性を必要とし、高度で繊細な美に対する感覚が磨かれてきたのだと思います。

 現代は、表現にしてもとてもストレートなことが良しとされている風潮があります。もちろん、それはそれで社会の中で誤解なく生きていくために必要なことではありますが、自分を表現するということにこだわる余り、それが逆に相手の心に土足で入るようなことになってはないか、こまやかな思いをどこかに置いてきてしまっているのではないか・・・という不安もあります。

 

 昔の人々の思いや表現を知り、その上で21世紀を生きる私たちは、現代の暮らしにあう合理性やグローバルな考え方をうまく融合できれば、きっととても幅の広い豊かなくらしが送れるのではないでしょうか?

 春、私もそんなことを考えながら、伝統文化の世界を生きる人間から古典と現代との接点を見つけ消化し、そして、新しい提案をしていければと思っています。花展も多くなってきます。皆様も是非足をお運びいただけると、とても嬉しく思います。

2002.03.20掲載 
由紀のひとしずく
●1ごあいさつ ●2花曇り ●3八十八夜 ●4水際 ●5川床
●6ビール ●7河童忌 ●8喜雨 ●9アイスクリーム ●10ベニス
●11台風 ●12旧七夕会 ●13新酒 ●14御事納め ●15柚湯
●16初づくし ●17風花 ●18ミネラルウォーター ●19樹氷 ●20・・・・
●21おぼろ月 ●22祝 和の学校
1st Birthday

●23・・・・
●24入道雲
●25雷雨

●26秋分

●27紅葉前線 ●28おもてなしの心 ●29年忘れ ●30初春
●31和の学校を改めて思う