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天平の黄色
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伊吹山の刈安
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9月の初めに滋賀県の伊吹山に登ってきた。 刈安という染料になる草が、もう穂をつけている頃だからである。刈安という染草は、薄とよく似ていて、よく見ないと間違えそうだが、少し背が低くて穂が2、3本しか出ていない。どうしても薄の勢いに負けるようで、伊吹山でもひとときは少なくなりかけたが、関係者の努力で保護されて今はよく育っている。このあたりは古くからの薬草園で、山のふもとの方々が管理されているのである。
10月1日には、そこから、刈り取って干した刈安が私の工房に届いた。まだ青味をのこした色で、干草のにおいがのこっていて香しい。
さっそく、鍋に入れて煎じて、絹に染めてみた。
青味の色をした草なのに、黄色の色素が液にとけ出してくる。刈安の染液と椿の灰をとかした液とに交互に入れて、何度も繰り返していくと、鮮やかな黄色に染まっていった。
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刈安染
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奈良時代の正倉院文書にも「近江刈安」と記されており、伊吹山産のものが珍重されて日本の黄色は古くから刈安でめられていたことがわかる。
染め上げた刈安の色を見ながら、天平の人々と同じようなうるわしい黄色が見られることを、伊吹山の自然に感謝しなければとおもったのである。
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