〜言葉遣い(2)〜 

昨日、ケーキを購入していた時のことである。私の後ろに並んでいた男性が店員にケーキの価格について尋ねていた。「あの写真のケーキ、何人前くらいあるのかな?」との問いかけに、「えーっと・・・。写真の後ろのヤツですか? それとも前のヤツですか?」と、どのケーキをさしているのかをさらに聞いてる。
男性は「前のケーキの方だよ。大体の人数でいいんだけれど、教えてくれない?」とやさしい口調で話し掛けていた。ところが、尋ねられた店員はその質問に答えられないようで、奥にいた先輩らしき定員に「あのー、入口の写真のヤツは何人前ですかー?」と、店内に響き渡るくらい大きな声で聞いていた。ケーキが箱詰めされるまでそばに控えていた私には、そのやり取りがしっかり耳に入ってくる。というよりもある表現が気にかかっていた。


その表現とは「ヤツ」。男女問わず、また若者でなくても、現代においてこの「ヤツ」ということばは頻繁に使用されているように思う。
さて先日テレビを観ていたら、ある女性アナウンサーが何品かある料理のうち一品を指して、「こっちのヤツの方が辛いですね。」と感想を述べていた。それを私の隣で聞いていた息子がクスクス笑っている。「どうして笑っているの?」というと息子から、「今の聞いていた? こっちのヤツ、っていっていたけれど、人じゃないのに面白いね。」と返事があった。「人でなくても、物をヤツと呼ぶこともあるのだけれど・・・。あまりきれいなことばではないわね。」というと、首を縦に動かしながら大きくうなずいていた。
ところで「ヤツ」という意味を改めて調べたところ、「人をいやしめていい、または目下の者を親しんでいう語・物事を乱暴にいう語」などとある。いずれにせよ、人や物を大切に思うこころからは遠ざかることばであることが再認識できた。

言葉づかいについてはこれで2度目なので、あまり小言をいいたくはないのだが、以前から気になっていたこの2文字が頭に残ってしまっているため、今回も言葉づかいを取り上げることをご容赦いただきたい。文字で書くと一文字ずつ、選んで書くことができるが、日常の生活の中ではゆとりを持ってことばを選びながら話すことが難しいことも多くある。特に周囲が使用していることば遣いは、知らぬ間に身についてしまうこともある。だからこそ、本人が自覚を持って美しいことば遣いをこころがけることが必要に思えてならないのだが・・・。

2002.2.19掲載
stylish礼法
1 ブーツ 2 ネイルサロン 3 膝元 4 女性らしさ 5 贈答
6 素足 7 言葉遣い 8 煙草 9 Eメール 10 コート

11 言葉遣い(2)

12 携帯電話 13 入学式 14 感謝のことば 15 もてなし
16 謝罪のことば 17 化粧室  18 パンのいただき方 19 箸遣い 20 お正月を迎えて