〜感謝のことば〜

 最近、レストランなどに行く度に気になることは「ありがとう」の一言。たとえばお水を注ぎ足される際に何人の人が「ありがとう」を言っているのだろうか。

 お客様として少なくなったグラスに水を足されることは当たり前、と思われるのだろうが、もてなす側ともてなされる側の交流というのはそういうものではない。当たり前のことだからこそ、「ありがとう」が光るのである。

 改めてこうしたことが気になるのには、あるきっかけがあった。私が尊敬する方の一人に、70歳代半ばにして精力的に活躍されている方がおられる。その方にお目にかかるたび、素敵な「ありがとう」を伺うことができる。先日もお会いした際に「こころのこもったありがとうを伺う度に感動いたします」と申したところ、「一度限りの出会いかもしれない人とこそ、その瞬間、お互いが気持ちよく過ごしたいものだよ。それにはありがとうが大切だとは思わない?」とおつしゃった。まさにその通りである。

 運転される方はお気づきだと思うが、狭い道で対向車に道を譲る時にありがとうの意思表示として手を上げたり、クラクションを鳴らすことをしない人が少なくない。ありがとうを聞くために道を譲っているわけではないのだから、そのことを期待することは間違っているのかもしれない。しかし、知らん顔をして通っていくことには寂しい思いがしてならないのだが・・・。知らん顔といえば、昨日、信号がすでに赤に変わっているのにもかかわらず、堂々と横断歩道を渡っている女性がいた。左折してきた車がしばらく待ってくれているのに気がつかない素振りで通り過ぎていた。こうしたことは珍しくない光景になってしまったように思うが、待っている側に対して足早に歩きながら「ありがとう」の会釈で、印象はまったく異なるのではないだろうか。

 こうしたことは、他人との交流だけにとどまらない。家庭においても大切なことである。家族には常に甘えがあり、なかなか感謝のことばをかける機会が少ない。こころで思ってはいるものの、なんとなく恥ずかしいという気持ちもあるだろう。だからといって、言わなくて良いというものではない。洗濯物にアイロンをかけてくれた時、夜遅くなっての帰宅後に食事を作ってくれた時、雨の日に駅まで傘を持ってきてくれた時・・・など、日常のあらゆる場面でありがとうを伝える機会はたくさんある。感謝の思いはこころにとどめておくだけでは相手に伝えわらないことのほうが多くある。ならば、こころを込めて「ありがとう」といってみては・・・?

2002.5.21掲載

stylish礼法
1 ブーツ 2 ネイルサロン 3 膝元 4 女性らしさ 5 贈答
6 素足 7 言葉遣い 8 煙草 9 Eメール 10 コート

11 言葉遣い(2)

12 携帯電話 13 入学式 14 感謝のことば 15 もてなし
16 謝罪のことば 17 化粧室  18 パンのいただき方 19 箸遣い 20 お正月を迎えて