〜箸遣い〜

 先代は「最も一緒に食事をしたくない人、といわれることが多い」と笑いながら話していたが、実際に私も今の立場になってからは「小笠原さんと和食を食べるは・・・」といわれることが少なくない。その理由は、箸遣いに自信がないので、ということである。  
 

 箸遣いに限らず、作法を身につけたからといって、それを相手にも強要することは却って礼のこころから外れてしまう。したがって食事をする際に大切なことは、その場をともに楽しむことなのだが、相手に不快感を与えないための最低限の心遣いはあったほうがよいかと思う。そのこころ遣いとは、「箸遣い」である。


 昔から箸先五分、長くて一寸、といわれ、箸先はどんなに汚しても3センチ程度までに止めておくのがよい。汚れの部分が多くなってしまうと、どうしても見た目の印象が悪いからである。

 さてどうすれば箸先が汚れないか、それは正しい箸の持ち方をマスターすることだ。まず鉛筆を持つのと同様に(最近は鉛筆の持ち方も正しくない人が増えているが)人差し指と中指ではさみ、親指をそえる。もう一本は薬指で支えるようにする。

 箸はもともと神と共食するための祭器であり、神聖なものとして大切にされてきたもの。そう考えると、箸を粗末に扱うことが避けられるのではないかと思う。また食事をいただくことに感謝するこころと、そのこころをかたちにあらわすことの一つが箸遣いになるといっても過言ではないだろう。

 正しい箸遣いができると、一口分に適した大きさに切ったり、取ったりすることが容易にできるので、自ずと美しい動作につながるのである。和食の作法は箸に始まり箸に終わる。

2002.12.21掲載

stylish礼法
1 ブーツ 2 ネイルサロン 3 膝元 4 女性らしさ 5 贈答
6 素足 7 言葉遣い 8 煙草 9 Eメール 10 コート

11 言葉遣い(2)

12 携帯電話 13 入学式 14 感謝のことば 15 もてなし
16 謝罪のことば 17 化粧室  18 パンのいただき方 19 箸遣い 20 お正月を迎えて