〜素足〜 

 以前にも靴に関することを取り上げているが、特にこの時期は女性の足元へ知らず知らずのうちに視線が延びてしまっている。
 
 手入れの行き届いた足元には素足でミュールを履きこなして楽しみたい、という気持ちを持つことはもっともであろう。しかしながら、余所のお宅に伺う際にもこうした足元で出向くことが当たり前になっていることには少々疑問が残る。
 
 先日、あるお宅へ伺った時のことである。数人の知人達は皆そろって素足にサンダルかミュールを履いていた。今夏は特に暑さが厳しくなっていることはご承知の通りであり、したがって汗をかくことも頻繁である。そうした中、素足で他家に上がることはいかがなものであろうか。しかも決して手入れが行き届いているとは思えない足元であった。

手入れが行き届いているというのは、何も豪華なネイルアートが施されていることを指しているのではない。相手に不快感を与えない、清潔なお手入れがされているか否かのことである。
 
 他家を訪れた場合や茶室などにおいては、足袋を履き替えたり、 洋服の場合は白のソックスを履くことがある。その理由として和室には床の間があるが、一説には床の間は僧家の影響により仏画像を掛け、三具足(花瓶、燭台、香炉)を飾って礼拝することが多かったために神聖な場として扱われてきた。こうしたことからも汚れた足元のままで出入りをすることを控えたのである。
 
 こうした心遣いは何も和室だけに限ったことではない。和洋問わず、お客様にはスリッパを用意することが多い。他の方もお使いになることがわかっているスリッパを、素足のままで用いることはいかがなものであろうか。
 
 しかしながら、たとえ素足にミュール姿であっても、他家を訪問する時は靴下をお持ちになる方もいらっしゃる。相手を大切にするこころ遣いがそのような行動につながるのではないかと思う。
 
 「脚下照顧」。履物の扱いがその人自身の人柄をも左右しかねないことはいうまでもない。 玄関では出迎えてくださる方に背を向けることなく、入ってきたままの方向で靴を脱ぎ、さらに膝を着いて靴の向きを変えるととても美しい姿になる。
 
 玄関での一歩がより素敵な姿になることで、あなたの第一印象は今にも増して良いものとなることは間違いない。それには素足で外出する前にもう一度、TPOを考えられてみてはいかがであろう。
 


2001.8.7記載

stylish礼法
1 ブーツ 2 ネイルサロン 3 膝元 4 女性らしさ 5 贈答
6 素足 7 言葉遣い 8 煙草 9 Eメール 10 コート

11 言葉遣い(2)

12 携帯電話 13 入学式 14 感謝のことば 15 もてなし
16 謝罪のことば 17 化粧室  18 パンのいただき方 19 箸遣い 20 お正月を迎えて