4 背割り  根岸照彦

 茶室の仕事をするという事は丸太にかかわる事になる。丸太といっても足場丸太の事ではない。またよくいわれる丸太ん棒や、でくの棒(坊)でもない。れっきとした銘木の丸太なのである。

 茶室、数寄屋建築で圧倒的に使われる丸太は、いうまでもなく北山丸太、つまり京都の北山で生産される杉、北山杉である。一般にただ北山というだけで説明がつく。

 この杉の木は他の木材のように、製材され分割されて、いろいろな用途に使われるのではなく、主に柱や桁など、そのままの姿で使用される。

 そのままの姿で使用するということは、丸太のままなのであって(当たり前)、丸太は芯があり、ほっておくと乾燥して、そこら中にヒビが入る。

 そこら中にヒビが入ったのでは使いものにならないから、背割りをしてその部分から乾燥するようにする。背割りの面は、壁の中に入れてしまうので、普通は見えない。どうしても見える場所に立てるときは、埋木してあるのでよく見ないと、これまたわからない。

 木には腹(枝の少ない方)と背中(枝の多い方)とがあって、その背中の所を芯近くまで割っておくことを背割りという。

 北山で自然乾燥されて、作業場に丸太が搬入されると、山と町中の気候の違いからか、急に乾燥し出す。特に4月頃は風がきついらしく、みるみる内に背割りの口が大きく開いてきて、背割りに差してあった込み栓が落ちてくる。また、新たに大きめの込み栓をする。

 作業場にならんでいる丸太がミシッツ、ミシッツと音がして、なれない頃は、丸太がヒビだらけになり、バラバラになってしまうのではなかろうかと心配したものである。

 木は生き物だということが身にしみてわかった。
  そう・・人間と同じように腹も背中もあるのだから。     

 




背割り
 
北山杉の柱の背割り。
こちらはそれに埋め木をしたもの。
背割した部分が壁の中に入る場合。
こちらは建築してから約20年経っている柱です。
四面開放の柱なので、埋め木仕上げがしてあります。
とてもきれいで、埋め木をしてあることもよく見ないとわかりません。
最初はきっちりと入っている埋め木も年月が経つと少しずつ隙間があいてきます。
北山杉。
なぜ鉛筆のようになっているのでしょうか?
それはこの木を立て、独楽のようにまわして、まっすぐな木かどうか調べるためです。
回すとまっすぐな木はきれいに回ります。
こちらは赤松の皮付き。 床柱に使います。
同じように鉛筆のようになっています。
埋め木をせずにホゾを作ると弱いため、埋め木をした状態で作ります。

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