おもひでのきものたち〜冨田屋の蔵の中〜

第六回 「女の子の晴着」

 11月になると、あちらこちらの神社でかわいらしい着物姿の子供たちを見かけるようになります。七五三のお祝いが今と同じ11月15日に行なわれるようになったのは 江戸時代からだとか。

 この着物も私の祖母が七五三の7歳のお祝いの時に新調したものだといわれています。
明治時代初期のもので、手描きの京友禅です。
薔薇(ばら)、鈴蘭、桜草、れんげ、蒲公英(たんぽぽ)、菫(すみれ)、土筆(つくし)、杉菜(すぎな)、そしてとびかう蝶・・・春爛漫のこの風景は、両親が娘を「蝶よ花よ」と育てたいという気持ちの現れでしょうか。親の愛情がこの一枚の着物にあふれているように思えます。

 この時代は大人も子供のものも、胴裏や長襦袢は赤い色のものが圧倒的に多く、この着物の胴裏も真っ赤です。表地の薄紫とのバランスが大変面白く、かわいらしさがよく出ています。


 七五三でも特に7歳のお祝いを重要視する地方は多く、「帯解き」や「紐落とし」などと言い、子供の着物にそれまで縫い付けられていた付紐を取って、大人と同じ帯を締めることができるお祝いとしたようです。男の子は5歳から9歳までの間に、女の子は7歳のときに行い、それまでの成長の無事を感謝し、これからの成長も祈願します。

 今でも毎年見られるこの風景、いつも時代も、親が子を思う気持ちは変わらないものなのですね。
※きものの写真をクリックすると拡大図がご覧いただけます。


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おもひでのきものたち
1「朝顔のきもの」 2「祗園祭のきもの」 3「朝顔の着物2」 4「真夏の紗の小紋」 5「菊の小振袖」
6「女の子の晴着」 7「ロングコート」 8「総花柄の小振袖」    
着付けのはなし
1「着物の魅力」 2「一着目の着物」 3「着物と帯」 4「小物」 5「季節の着物」
6「着物のお手入れ」 7「着物のおしゃれ」 8「髪型について」 9「お正月の着物」 10「男子の着物」
11「着付けのポイント」 12「着くずれの直し方」