赤
   

 
紅花染め  


日本には「赤」にかかわる染材や名前がたくさんあります。
今回はその中で、日本に5世紀頃もたらされ、女性の唇や頬を彩ってきた「紅花染」をご紹介いたします。
動画

  赤ものがたり 紅花:キク科 ベニバナ属
学名 Carthamus tinctorius
別名 呉藍(くれあい) 末摘花(すえつむはな) サフラワー
飛鳥時代に中国から渡来。花も茎もアザミに似てトゲがある。 原産はエジプト。

紅花の畑
7月、伊賀丸柱の里にある紅花の畑です。
花は上に黄色、下に赤の鮮やかな色素を含んでいます。
朝露を含んだ、刺がまだ柔らかい早朝にひとつひとつ丁寧に花びらだけを摘んでいきます。
摘み取ったばかりの花びらです。
この花びらを日に干します。だんだんと黄色が赤くなってきます。
花びらを水につけ、一晩おきます。 それを混ぜると黄色の色素が水に溶け出します。 紅花染ではこの黄色の色素は捨ててしまいます。
花びらをざるにあげ、上から手で押して水を切ります。 これを何度か繰り返し、黄色の色素が出なくなり水が透明になるまで絞ります。
最後に固く絞りきり、完全に黄色の色素を抜きます。
稲藁(いなわら)を黒焼きにしたもので灰汁(あく)を作ります。 藁を焼いたものを1mほどの高さの樽に押し詰め、二日ほど前からたぎらせた 湯を入れておきます。
灰汁(あく)の成分が充分に溶けこんだ液を樽の下の栓を抜いて出します。  
 
かごの底から
うす青く美しい液が落ちていきます。
 

黄色の色素を絞りきった紅花に、その灰汁をたっぷりとかけます。 アルカリ性の水で紅花の色素を溶かします。 黄色の色素は水に溶け、赤はアルカリ性の液で溶解するのです。  


しぼり取った液に絹糸を浸(ひた)します。
藍甕(あいがめ)で発酵させた藍は
木綿にもよく染まりますが
生葉染めは絹にしか染まりません。
側面に穴のあいた木の樽に、灰汁に浸(つか)った紅花をいっしょに入れます。
上から板を置いて、くるくるとねじを回して重しをきつくしていきます。 下には受ける器を用意しておきます。 そこに真っ赤な染料が滴り落ちていきます。
絞った紅花には再び灰汁を入れて揉みます。 これを2〜3回繰り返し、紅花の染料が出来上がるのです。
このときの液は藁灰のせいでアルカリ性です。 これに少しずつ米の酢を足すと液は鮮やかな赤に変わっていきます。
液が中性に近くなり、ヌルヌル感がなくなります。
中性になる少し手前から染め始めます。 この液に絹の布や糸を入れて動かしているとだんだんと赤く染まってきます。 酢の酸から中性に近づいていくうちに赤の色素が布や糸に結合しようとするのです。 この液で糸や布を何度も染め、液が薄くなればまた新しい紅花の液を加えて色を濃くしていきます。
思う色になってきたら烏梅(うばい)を用い、発色を良くします。 烏梅とは梅の実に灰の粉をかけて燻(いぶ)したものです。 この烏梅を前の晩から熱湯につけておき、麻布で漉して発色液を作ります。
その液に紅染めを終えた布や糸を入れると鮮烈な赤になっていきます。  
美しい赤が染めあがりました。
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