赤
   

 
赤の風景  


東大寺 お水取り 修二会(しゅにえ)の椿の紙を染める

春の訪れを告げる、奈良・東大寺二月堂の「お水取り=修二会(しゅにえ)」には、その本行中に二月堂の本尊、十一面観音に椿の造り花をささげます。今回はその椿の花びらに使われる紅花で染めた紙と、お水取りの様子をご案内いたします。

動画

  赤ものがたり


お水取り基礎知識

京都府綾部市黒谷地区で作られる楮の和紙に紅花の泥(バックナンバー「紅花染」参照)を豆汁(ごじる:大豆の粉で煮てから漉した汁)で、少し薄め、刷毛で引いていきます。

 
和紙の上に均等に紅を引いていきます。
 
それを乾かし、この作業を4回から5回繰り返すと椿の花弁にふさわしい濃い紅の色になります。

 
40cm×50cmの和紙一枚を仕上げるのに
約1kgの紅花が必要です。 東大寺にはこれを60枚奉納します。
紅花は60kg、一日4kgの工程を10回程繰り返し約15日間かかります。
 
これに支子(くちなし)の実を濃く煎じて同じ和紙に引染して黄色くした「におい」と呼ばれる、花芯用の和紙を30枚、白い和紙を50枚、毎年2月23日の「花拵(こしら)え」の前日までに納めることになっています。

 
練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる選ばれた11人の僧と、世話人が別火坊の広間に集まり、車座になり、椿の花を作っていきます。

花の芯になるタラノキ。
この木のまわりに染めた紙を巻いていきます。
支子で染めた紙を切ります。
芯になる部分を細く切ります。
木のまわりに巻き、花芯を作ります。
花芯ができあがりました。
紅花で染めた赤い紙は花びらになります。

 
赤く美しい花びら。
白い和紙も同じ大きさに切ります。

 


これを貼り合わせて先ほどの花芯に巻きます。赤と白の花びらを交互に5枚貼りつけるので「一枚がわり」や「さしまぜ」と呼ばれています。
二時間で、約400個ほど仕上げます。
美しく椿の花ができあがりました。
作られた椿はユリナと呼ばれる縁のついた丸盆に入れ、総別火(そうべっか)の花つけの日まで、大広間の床に置かれます。
 

椿の造り花とともに、南天の花もかざられます。赤と黄色の実を房のまま、約30cmの青竹の串に一房(ひとふさ)ずつ差し込んで、コヨリでくくって作ります。椿も南天も用意されたテシマゴザの上で作業をしなければなりません。もし、ゴザの外に出た場合は穢(けが)れたものとして使用してはならない。ということになっています。

 

 

2月27日には、23日に作った供華の椿は朝9時半頃より椿の生木に挿されます。 戒檀院の千手堂の縁側には、春日山の原生林から切り出されてきた藪椿の樹があわせて20本並べられます。
練行衆のうち、堂司(どうつかさ:平衆を率い修二会の進行を司る)や平衆(ひらしゅう)の手で紅と白の造り花が次々と生木に挿され、あたかもそこに咲いているかのように美しく飾られていきます。

 

 

3月1日の本行の始まる日の夕方、大導師を先導に二月堂に入堂して勤行が行われたあと、内陣の十一面観音の須弥殿の四方に真っ白な檀供(だんく:丸餅)が並び、そこに椿の造り花、南天が飾られます。こうしてようやく、初夜の行への準備が完了します。

 

夜7時、大仏殿の鐘の音を合図に、初夜の練行衆の上堂が始まります。松明(たいまつ)の激しく燃える灯りが夜空を焦がします。
松明が二月堂の欄干で火の粉を散らし観衆のどよめきを受けながら舞います。



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