赤ものがたり
赤は、生命の色です。
太陽や火という、人間にとって欠かすことのできない生命の源を象徴する色です。だから、情熱や生命力をあらわす色ともなっています。
一方、神聖な色であることから、宗教や政治の権威として、古代の神社や寺院の建物の色として使われました。
赤の語源
日の出

太陽によって一日がアケル。そのアケルという言葉が「アカ」になったといわれています。日本の古代神話の中で、天照大神は天を照らす太陽神です。太陽は人に光を与え、植物を育む生命の源です。
そう言う意味でいえば、「アカ」は、まさに神の色、聖なる色といえるでしょう。

中国古代(後漢時代)の字書「設文解字」(せつもんかいじ)によれば、「南方の色なり。大に従ひ、火に従ふ」とあります


鞍馬の火祭り
赤の発見

人間が太陽の光りの恵みを受けて、「赤」の色について、まず関心を持ちました。そして、次に、暗闇の中で、「火」を発見することが、次の「赤」との出会いでした。火は、暗闇から人間を守り、寒さから暖をとってしのいでくれました。したがって、火は太陽とともに、人間にとっては神であり、清浄なものとして崇められたのです。さらには、人間の体の中を流れる生命の源である「血」にも「赤」を発見したのでしょう。このように「陽、火、血」という赤色のものは、生きていく根源をなすものであり、人々は生活の中にも、赤を取り入れ、あらわしたいと強く感じ、赤によって人々の眼を引きつけようと考えたのです。土の中から、朱、弁柄などの金属化合物の赤を発見し、茜の根、紅花の花びら、蘇芳(すおう)の木の芯材、そして虫からも赤色を取り出そうとしたのは、まさに、「陽、火、血」という赤色が人間にとっての神聖な色であったからにほかなりません。


赤の用途
彩文土器

縄文時代には、土器や土偶、あるいは木彫の装身具、そして自らの顔にも塗るという「施朱」の習慣などは、すべて赤色です。これは、日常の器であれ、祭礼の道具であれ、赤色は、陽と火に対する畏敬のあらわれで、その強い色を借りて悪魔をよけるためのものだといわれています。


奈良時代にはいって、大和を中心にして、天皇を中心とした国家が確立され始めると、中心となる都が定められる。その都には、政治的宗教的機能を果たすために、巨大な神社や寺院が建設されます。そして、その建物の色彩は、統治の象徴として力強く、一般の民衆の眼にも鮮烈に焼き付くものでなければなりません。藤原京も平城京も、その中央の通りには、朱雀門が建てられ、鮮烈な赤が目に入ったはずです。大きな寺院五重塔や大きな神社の建物は、ほとんど朱塗りの赤が壮麗な彩りのある柱であったようです。


赤の言葉

■朱に交われば赤くなる
人は交わる友によって善悪いずれにもなる。中国の古いことわざ。

■赤心、赤子
赤は祓い清める儀礼の意味があり、すべてを洗い清めることから、純粋な心やまだ純粋な赤ちゃんをさす。