3月から4月にかけては潮干狩りのシーズンですが、雛飾りの一つにハマグリがあります。このハマグリは同じ一対の貝殻同士でなければ合わないということから、貞操の象徴とされて婚礼道具にも貝合わせの入っている貝桶が用意されました。
その貝合わせを塗りの板に一対のせ、ひなあられを盛って飾ってみました。貝合わせでなくても、はまぐりにひなあられを盛っても良いでしょう。小さなスペースでも飾りつけることができます。

3月3日がひな祭りと月日が定められた以前は、3月の最初の巳の日を上巳の節供としていた。この日は桃の節供と呼ばれることもある。現在では女児の祝いとして、特に初節供においては雛人形を用意し、成長を祝うことが行われているが、もとは節供の一つとして禊や祓いの思想が強かった。次のような小笠原流礼法の伝書からもこうした思想がうかがえる。

三月三日は上巳とも、曲水とも、仙源ともいうなり。日本には、人皇二十四代顕宗(けんぞう)天皇より始まるとなり。美国(中国)にはこの日、水上に杯を浮かべ、わが前へ流れ来る間に詩をつくる。
日本には巳の日の祓いといえり。初めて三月三日の宴をなす。時日、上の日の巳の日にあたれり。これによって上巳というなり。」

もともと雛は、形代(かたしろ)としてつくった人形を用いて自分の身体を撫で、さらにこれを水に流すことにより災厄をまぬがれるという類のものであった。こうした性質が薄れていくことにより、人形は呪具ではなく、飾りとして用いられるようになる。また上巳の床飾りについては、伝書に次のように書かれている。

「三月三日には、えもぎ餅(よもぎの草餅)の上に、桃の花を切りて、熨斗を添えて飾りてだすなり。」

 さて草餅は、ひな祭りにはかかせないものである。草餅とは蓬餅のみを指すのではない。餅に入れる草について一説には、古くは母子草が用いられていたということである。現在では、蓬が使用されることがほとんどかと思う。
 餅というと、もう一つこの時期にかかせないものは菱餅である。三段に重ねられた三色については多くの説がある。草餅については

「この日草餅を食うこと、美国にて幽王の時に始まるといえり。幽王曲水の宴をなしたもうとき、ある人草の餅を献ず。この味微妙なり、珍物なりとて宗廟に献ずる。その後天下よく治まるといえり。」

と伝書にある。この草餅に使用される草は、薬効としても活用されていたようだ。季節の移り変わりの時期、つまり体調を崩しやすい時にこうした草を用いた餅をいただくことは健康面からも大切なことであったのではないかと考えられる。



      人が集うリビングに飾りました。

上巳の節供飾り
小笠原流礼法に伝わる床飾りです。紙雛、桃の花と菜の花、ハマグリ、サザエ、菱餅、白酒、ひなあられ、雪洞、熨斗が三方にのせてあります。三方の上に敷いている奉書紙は赤を上にしても華やかさがでて良いかと思います。

左の写真を拡大したものです。