籠にお茶の枝、白手ぬぐいと赤い襷、桑の葉と蚕

八十八夜とは、立春から八十八日目の日を指す。太陽暦では五月二日頃にあたる。春から夏へと移る境目であり、かつてはこの日を迎えてはじめて苗代に種を蒔くところも多かったようである。
種まき粥といって、粥を田の神様にそなえるならわしや、こどもたちが組をつくって卵やうどんを持ち寄り、野原に土竃をつくりご飯を炊いて田の神様にそなえ、自分達も一緒に食べる習慣もあった。

 田植えをする女性を早乙女という。早乙女の「さ」は田の神にかかわる語であり、それに奉仕する「聖なる乙女」が早乙女の原義ともいわれる。
田植女は、紺絣を着て、赤襷、白手ぬぐいに菅笠という晴れ姿で作業にあたり、各家の田植えを済ませていくことが通例であった。

 また「夏も近づく八十八夜」の歌にもあるように、この時期から茶摘が始まる。昔からこの日に摘んだお茶は味が良いだけではなく、このお茶を飲むと長生きをするとの言い伝えもある。

 
田植えの際には欠かすことのできない菅笠をイメージした籠の中に、やはり晴れ着として使用される赤の襷、白手ぬぐい、そして八十八夜にもちなみ、お茶の枝を入れました。
また、養蚕時代には桑の若葉を霜の害から守ったといわれる桑の葉を白のかわらけに敷き、蚕を飾りました。


部屋の一角に桑とともに、都忘れを飾りました。時期の草花をお部屋に取り入れると、季節を感じるとともに、お部屋が明るくなります。
撮影協力:叶|屋