十一月は「開炉」と「紅葉狩」を兼ね合せての趣向。
「奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の 声聞くときぞ秋はかなしき」 百人一首で有名な鹿の歌を、釜に偲んで頂く。奈良の春日明神の使いは鹿。紅葉の色を想いながら、釜の音を楽しんで下さい。奈良は茶道に因縁深い土地柄。紅葉といえば「竜田川」をはずして語る事ができません。薄器の「川」には茶杓の「照葉」が散りかかります。茶碗に「吹寄」や「蔦」の紅葉の紅や黄色が、秋の余香を感じさせます。炉縁は奈良の三輪山の姿を蒔絵したお好の品。三輪山は奈良最古の神社で、水の神様です。炉開きは「茶人正月」とも言います。炉開きの火を三輪の神様が火伏せをし、「福禄寿」も御祝いに席にお見えです。
開炉に合せ、水の神様三輪明神の炉縁が、暗に火伏せと御家の守りを示す。茶器は神代も聞かずと業平卿に詠われた川を、茶杓は流れにかかる照葉の一枚。慶入の茶碗の色に全山の紅葉、天下の秋を偲んで下さい。 それぞれの道具の解説
菓子「錦秋 俵屋吉富製」 きんしゅう たわらやよしとみせい 菓子器「淡々斎宗匠箱 黄交趾雲錦鉢 即全造」 たんたんさいそうしょうはこ きごうちうんきんばち そくぜんぞう
永楽即全*は交趾の物が得意でした。 黄交趾の生地に桜と紅葉を配し、春秋の茶席に重宝なお品です。